Facebookがハーバード大学の学生寮で生まれ、爆発的なスピードで5億人のユーザーを集め、やがて原題の通り"The Social Network"と定冠詞がつく存在になるまでの「サクセス・ストーリー」が一方にあり、もう一方には、世界最年少の億万長者になりながらも、いくつもの訴訟を抱える孤独な天才プログラマー、マーク・ザッカーバーグの「どこにもたどり着けない物語」があります。
最後に、善悪の判断を下さないまま前例のない現象を描こうとする、どの登場人物からも一歩引いたクールなスタンスが貫かれている点がすばらしいです。「ソーシャル・ネットワーク」には(予想に反して) 説教臭さがありません。「どれほど優れたスキルを持っていても、大切なのはコミュニケーション能力です」とも、「アイビー・リーグのスノッブな慣習なんぞクソ食らえ」とも言いません。ザッカーバックの顔アップに大きく「天才/裏切者/危ない奴/億万長者」と白抜きで書かれたポスターも印象的ですが、英語版ではさらに肯定とも否定ともとれない"You don’t get to 500 million friends without making a few enemies."という一文になっています。