2006年12月29日金曜日

はてなブックマーク棚卸しのススメ



2006年5月27日からはてなブックマークを利用していますが、ようやく冬休みになったので棚卸しをしてみました。500件以上あったブックマークを160件まで減らし、そのぶん質が上がったように思います。

ある程度主観的にものを言ったほうが逆に参考になると思いますので、ここでは自分なりのやりかたを示します。前提として、ソーシャルブックマークをアーカイブというよりはキャッシュとしてとらえています。


ブックマーク
  • リンク切れ
  • 原則的に削除します。初めてブックマークしたページ(YouTubeにアップされた安部公房のインタビュー。「(小説とは)意味にまだ到達しない実態を提供する」)など、一部例外あり。
  • 未読、未利用
  • 「いつか読む」「いつか使う」など、具体的に「いつ」を決められないブックマークは削除します(作りすぎた料理を腐らせてしまい、泣く泣く捨てるときの申し訳ない気持ちがする)。多くのユーザーからブックマークされているページであれば、あとで必要になっても検索ですぐに見つかるはず。
  • 日常的に利用(するはずだった)
  • ソーシャルブックマークに入れたままでは使いにくいので、ブラウザのお気に入りに移します。
  • 長文
  • 画面上では読みづらい長文はプリントアウトします。移動などのすきま時間で読むつもりでしたが、紙だとその場でサクサク処理できるものですね。プリントアウトしたものには[temp]タグをつけておくと後から消すときに便利です。

タグ

  • 肥大化したタグ
  • タグクラウドであまりに大きくなりすぎているタグは細分化したほうが使いやすいかもしれません。「[lifehacks]のうち睡眠改善に関するものは[sleep]に置き換える」など。
  • 小さなタグ
  • 逆に小さなものを他のタグに吸収すると存在を忘れてしまう可能性があるので、慎重に。タグクラウドの面白いところは大きなものが目立つだけでなく、場合によっては小さなものが主張する点にあると思います。
  • [temp]と[perm]
  • 近い将来削除する可能性が高ければ[temp(orary)]、永久保存版には[perm(anent)]。
  • アクションタグ
  • 「いつ、どのように」を具体的にイメージできるものには[@read]や[@write]などのアクションタグをつけて、自身に行動を促します。

コメント

  • 5つのポイント
  • 「~するときの5つのポイント」というタイトルの記事を良く見かけますが、このままではページにアクセするまで内容がわかりません。自分用のメモとして5つを列挙するか、特に印象的だったものに絞って抜書きします(後者のほうが多かった。もともと水増しして書かれているからだろうか)。引用した箇所は他のコメントと区別するために引用符をつけるようにします。
  • キーボード・ショートカット集
  • 一度に全てを覚えようとするのは非現実的なので、使用頻度の高そうなものをいくつかピックアップします。いつか使うかもしれないものを100個見せられるよりも、すぐに使えるものを1つ示されたほうがわかりやすい。このことは、無料で公開されているフォント集についても言えそうです。

意外だったのは、たくさんブックマークしていたサイトがほぼ全滅、逆にもともと2つくらいしかブックマークしていなかったサイトはそのまま残ったこと。要するにサイト名でブックマークしていたということなのでしょうか。


追記(12月30日12:50)
「小さなタグ」と「アクションタグ」、「キーボード・ショートカット集」に手を加えました。
たくさんのブックマークありがとうございます。いくつかの登録先を拝見したところ、総ブックマーク数が2桁違うことに驚きました。一部分でも参考にしていただけたら幸いです。


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2006年12月23日土曜日

手帳は帰宅後すぐ開く



電車のなかで今晩やるべきことを確認しておきながら、いざ家に帰ると別のことをはじめてしまい、やるべきことが徐々に後回しになったことはありませんか? 結局その日はあまりはかどらず、「電車のなかではあれほどやる気があったのに・・・」と布団のなかで悔しい思いをする。もしも帰宅してすぐに鞄から手帳を取り出していれば、このような事態は避けられたかもしれません。

手帳を卓上で開いておくときに便利なのが書見台と呼ばれるスタンドです。書見台を使うことの一番のメリットは「勝手に閉じないようにしておける」ことですが、それ以外にも:
  • 角度を自由に変えられるので見やすい
  • そのまま置くよりも省スペース
  • 所定の位置がはっきりする
ことなどが挙げられます。

僕はBOOK-MATE COLORという書見台をディスプレイの左隣に置いています。机に向かえば必ず見る場所なので、そもそもそこに手帳がなければすぐに気がつきますし、一度セットしてしまえばイヤでも目に入るようになります。このような状況では、やるべきことを後回しにするのがずいぶん難しくなるはずです。

また、机に向かっているときは原則的に手帳を開いているので、卓上カレンダーを別途用意する必要はありません。スケジュールを一元管理でき、ダブルブッキングなどのトラブルを未然に防ぐことができます。

「イヤでも」と先ほど書きましたが、どれほど予定が厳しくとも、何度参照してもイヤにならない、愛着のもてる手帳を吟味することの大切さを感じる毎日です。

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2006年12月18日月曜日

就寝前1時間、起床後1時間



0:00就寝、6:30起床」が少しずつ習慣化しつつあります。1日の終わりと始まりの時間が決まると、終わる直前と始まった直後の時間の使い方も工夫したくなります。
ここではひとつの例として、僕が「就寝前1時間、起床後1時間」に心がけていることを挙げます。特に重要だと思うものには下線をつけました。

就寝前1時間:ぐっすり眠りたい
  • パソコンをシャットダウンする
  • 寝る1時間前にパソコンを終了させるようになって、夜中に変な夢を見てうなされることが減りました。デフラグやウィルスチェックもそれまでに済ませておきます。必要な資料をプリントアウトしたり、iPodの曲を入れ替えたりする作業は忘れがち。
  • 間接照明に切り替える
  • 天井の蛍光灯を消して、白熱灯を点けます。光源が目に入らないように調整。
  • 手帳を見ながら明日の予定を確認、1日を振り返る
  • ここで明日の朝一に何をするか決めます。
  • 朝一のための環境づくり
  • 明日すぐに作業に取りかかることができるように必要なものを準備します。また、「はじめる前に机の上を片付けなくちゃな」と思わないで済むように整理整頓をしておきます。
  • 布団を敷く
  • 歯を磨いてトイレに行く
  • 照明はできるだけ明るくしないほうがいいようです。
  • 水を1杯飲む
  • ストレッチをする
  • 腰と肩を中心に、10分くらいかけて行ないます。どうも目が冴えていて、なかなか眠れなさそうな予感がしたときにはお香を焚くといいかもしれません。
起床後1時間:やるべきことにすぐ取りかかりたい
  • トイレに行く
  • カーテンを開けて布団をたたむ
  • 目を覚ますのに必要十分な動作です。
  • 水を1杯飲んだらとにかく机に向かう
  • コーヒーを淹れると時間がかかるので、水にします。コーヒーは朝食後に。
  • 机に向かったらタイマーを60分にセット
  • キッチンタイマーが便利です。
  • メールやフィードのチェックはしない
  • しだすと止まらなくなるのでグッと堪えます。
  • いま一番重要な課題に取り組む
  • 一番やりたいことではなく、一番やるべきことをします。別の言い方をするならば、寝る前に「あぁ、今日も進まなかった・・・!」と思いたくないことです。僕にとってはしばらくの間、「卒業論文の執筆」ということになります。
  • 1時間経ったら熱いシャワーを浴びる
  • そろそろお腹も空いてくるので、シャワーを浴びたら朝食にします。

2006年12月16日土曜日

Next Actionsは本当に"Next" Actionsでなければならない



1日が終わって、25あったNext Actionsの項目が5つに減っているのと、50あったものが30項目になったのでは、例え処理したタスクが同じ20個であっても、そのことがもたらす達成感はだいぶ変わります。Next Actionsのリストは1日に何度も参照しながら次にやるべきことを確認するものなので、見るたびにうんざりしたり、不安をかきたてるようなものであってはなりません。

いまNext Actionsのリストに登録されているタスクは、本当にそこにあるべきものばかりなのでしょうか? いまやるべきことを見えるようにすることは、裏を返せばいまやらなくてもいいことを(いまは)見えなくすることです。改めてGTDのフローチャートを見ながら、Next Actionsの中身を確認してみましょう。
  • Trashに移すべきもの
  • フローチャートでNext Actionsにまで進んだものが突然Trashに移ることはなかなかないかもしれませんが、それが本当にやるべきことかどうかを自らに問いかけることには意味がありそうです。いきなりリストから消去するのが躊躇われる場合には、とりあえず次のSomeday/Maybeに移動させればよいでしょう。
  • Someday/Maybeに移すべきもの
  • 迷ったものはここに入れておけば週次レビューのたびに見直すはずです。
  • Waiting Forに移すべきもの
  • 「今度ノートを貸してほしい」または「今度パソコンの設定をしてほしい」とお願いされたからといって、すぐにそれをNext Actionsに加える必要はありません。僕の場合、「今度」と言われているうちは連絡待ちリストに登録しておいて、向こうから具体的な日時を言ってくるまでは原則として気にしないことにしています。むしろここでNext Actionsに加えるべきものは、いつ連絡が来ても対応できるように「ノートがそろっているか確認する」ことや、「自分の使っているFirefoxの拡張機能をリストにまとめておく」ことなどです。ただし、こちらから積極的に働きかける必要があると感じた場合(例えば、相手に対して日ごろの感謝の気持ちや、好意を示したい場合など)には何らかの方法でこちらから連絡し、その上で返事が来るまでは連絡待ちリストに加えておくようにしています。
  • Projectsに移すべきもの
  • 例えば、全体で60章ある本を毎日10章ずつ読んで6日間で読み終える計画を立てたときに、はじめから6日分をNext Actionsに登録することは控えます。まずは「○○を10章まで読む」とだけ登録しておき、それが達成できたら「○○を10章までに読む」にチェックを入れ、新しく「○○を20章まで読む」というタスクを登録することをお勧めします。そうすれば、次の日のスケジュールを確認してみたところ他にやらなければならないことがあまりに多く、本を読む時間が十分に確保できないことが判明した時点で目標を調整すれば済みます。はじめから10章ずつ読む計画を一度にNext Actionsに加えてしまうと、あとからそのすべてに修正を加えるのが難しくなります。別のことで忙しかった日には全く読まずに終わってしまった、ということになりかねません。「どうせ今日の目標分を読みきれないから」と全く読まないよりは、実現可能な範囲で目標を設定しなおし、それを確実に達成したほうが建設的です。逆に、読み進めているうちに「それ以上読むに値しない」ことが発覚するかもしれません。いずれの場合においても、ひとつの段階を達成するたびに新しい目標を設定すれば、その時々の状況にあわせて後から柔軟に予定を修正することができます。
  • Calendarに移すべきもの
  • 次の週末になるまで、どう考えても作業をする時間がとれなさそうなタスクを週の初めからNext Actionsに登録して何日もの間気を揉むことはありません。それよりは、土曜日に必要な時間を確保できるようにスケジュールを組んでおくことのほうが大切です。
要するにNext Actionsには、文字通り今日から明日にかけてくらいのスパンで処理すべきことを、処理できる範囲で登録するように心がければよさそうです(そしてそれが難しい)。
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デビッド アレン David Allen 田口 元

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2006年12月15日金曜日

タスクバーを画面上端に移動する3つのステップ



デフォルトではデスクトップの一番下にあるWinodwsのタスクバーを画面上端に移動させることによって、マウスおよび視線の移動を大幅に減らすことができます。

WindowsXPを自分の使いやすいようにカスタマイズする方法は無数にありそうですが、この方法は最も簡単、かつはっきりと効果の現れるもののひとつです。
まずは3つのステップを以下に示します。
  1. タスクバー上で右クリック、[タスクバーを固定する]をオフにする
  2. タスクバーを左クリックしたまま画面上端までドラッグする
  3. タスクバー上で右クリック、[タスクバーを固定する]を再びオンにする
慣れれば10秒もかからないはず。同様の手順によっていつでもデフォルトの状態に戻すことができるので、図書館のパソコンを一時的に利用する際にも現実的なカスタマイズです。

このひと手間をかけることにより、マウスカーソルを動かさなければならない範囲は画面の上半分にほぼ限定されます。マウスを大きく前後させる機会が少なくなる分限られたスペースでマウスを扱うことができ、同時に腕やその周囲にかかる負荷も軽減できるはず。さらには、カーソルの移動に伴う視線の移動も抑えることができると考えられます。

「そうは言っても」という声が聞こえてきそうです。かく言う僕も、友人に勧められてから実際にやってみるまでるまでには1ヶ月近くかかりました。

1ヶ月もの間躊躇させた最大の理由は何か。それは、習慣を変えることに対する抵抗だと思います。能率が上がることは頭でわかっていても、そのためにこれまでの習慣を変えなければならないとなれば、そこにひとつのハードルが生じます。僕は10年以上前から「タスクバーは画面の下端」という環境でパソコンを使ってきたので、すぐに慣れるかどうか不安でした。

もちろん、最初の日はタスクバーを求めてカーソルを下まで動かしてから「あ、しまった」と思うことがたびたびありました。ところが、3日目くらいにはタスクバーが上にあることがむしろ自然に思えてくる。ごく些細なことであるとは言え、10年来の習慣をわずか3日間で変えることができたのは驚きでした。

それでは、今日から3日間、ぜひお試しください。

2006年12月14日木曜日

0:00就寝、6:30起床



新しい手帳を使いはじめて10日余りが経ちました。どうせ続かない、続けなくてもいいと思いながらはじめた起床時間と就寝時間の記録は意外にも続いています。プレゼンが重なって徹夜をしたあと12時間寝ていた日もあり、バラつきはあるものの、自分のベスト・コンディションは0:00に布団に入って6:30に起きたときだということが徐々にわかってきました。

2年くらい前まではろくに寝なくてもしっかり食べてさえいれば平気だったのが、体質が変わったのか、最近は睡眠欲が食欲に勝ります。「0:00就寝、6:30起床」という具体的な目標はできましたが、10日間過ぎた時点での「勝率」は3割・・・まずは5割を目指します。

2006年12月5日火曜日

QUO VADIS EXECUTIVE 2007



昨日、手帳を来年のものに切り替えました。2006年はQUO VADISのBUSINESSを使いましたが、2007年用にはEXECUTIVEを選び、2ヶ月前に購入しました。カバーは去年に引き続きクラブのブラック。オフホワイトのステッチが一番映える組み合わせです。

QUO VADIS COLLECTION 2007
http://www.quovadis.co.jp/collection/

BUSINESSが10x15cmという一般的な手帳の大きさなのに対して、EXECUTIVEは閉じた状態で16x16cmあり、やや大きめな正方形。開くと長辺はA4サイズを超えます。これだけのスペースを1週間かけて使えるので、「エグゼクティブ」という名前も相まっていい気分。初日は元気に起床時間なども記入しました(エグゼクティブ?)。

また、単位時間あたりの記入スペースが広くなったので、1日・1時間の価値が増したような気がします。すぐに慣れてしまいそうですが、この感覚は大切にしたいと思います。唯一の懸念はタイムテーブルが8時から21時までしかないことで、どうも仕事が始まるとスケジュールがその枠におさまらなさそうですが、とにかくスペースは十分にあるので何とかなると信じます。

最後に、手帳を切り替えるときのToDo。
  • 新旧2冊の予定を同期する
  • 1ヶ月前から新しい手帳も一緒に持ち歩いていたので、確認するだけで済みました。
  • 重要なスケジュール、参照することの多いページに付箋を貼る
  • 例えば、卒業論文提出日。付箋は長い間貼ったままにしていても汚れにくいフィルムタイプがオススメです。
  • 古い手帳の左ページにあるPHONE / FAX / E-MAIL欄に目を通して、必要なものは転記する
  • それほど数がなかったのですぐに終わりました。来年はもっと時間がかかるかもしれません。

追記(12月12日)

「婦人之友」2005年2月号によれば、フランソワーズ・モレシャンもQUO VADIS EXECUTIVEを使われたそうです。
今年、これまでより小さいサイズの手帳を選んだのは、無意識のうちにも落ち着いた時間をもう少し持ちたい、という気持ちの現われかもしれません。(36)
B5サイズのものから切り替えるとなると、確かにEXECUTIVEも小さな手帳ということになります。「大きさ」が主観的なものであることをあらためて実感。

2006年11月30日木曜日

ネクタイの締め方、靴ひもの結び方



ネクタイの締め方

中学高校の制服にはネクタイがなかったので、就職活動をするようになって初めてネクタイを締めることが習慣化しました。

Tie knot
http://www.tieknot.com/

The Half-Windsor
http://www.tieknot.com/en/half-windsor.html

はじめはプレーンノット、あるいはシングルノットと呼ばれる結び方をしていましたが、こちらで紹介されているHalf-Windsor(セミ・ウィンザーノット)のほうがノットの形が立体的、かつ左右対称になり、気に入りました。1部プリントアウトしておけば余計な心配をせずに済みます。
---

靴ひもの結び方

また、コンバースのスニーカーを買ったとき、せっかくだから靴ひもの結び方を工夫しようと思って参考にしたのが以下のサイトです。

Ian's Shoelace Site
http://www.fieggen.com/shoelace/index.htm

Criss Cross Lacing
http://www.fieggen.com/shoelace/crisscrosslacing.htm
最も一般的な結び方。履きごこちを重視した時点で候補が絞られました。

"Ian Knot" = Ian's Fast Shoelace Knot
http://www.fieggen.com/shoelace/ianknot.htm
左右同時に結ぶことによって、後から結び目を整える手間を省くことができます。

いろいろ試してみましたが、結局は最もシンプルな組み合わせに落ち着きました・・・よくあること。

2006年11月7日火曜日

人間は疲れると悲観的になる



人間は疲れると悲観的になるらしい。心理学の講義で聞きました。

もしもそうだとするならば、「ちょっと悲観的になっているな」と感じたらそれは「ちょっと疲れているな」という合図だと思って、たっぷり食べてぐっすり眠れば、悲観的な気持ちのうちの少なくとも疲れに因るぶんは解消できるじゃないかと、だいたいにおいて物事を楽観的にとらえる傾向の強い僕は考えたのですが、それをうっかり口に出してみたところ、

「あなたの場合、疲れると悲観的になるというよりは、怒りっぽくなる」

と諭されてしまい、こちらは思い当たるフシが多々あったのですまない気持ちがしました。

2006年11月5日日曜日

Firefox 1.5のカスタマイズ例



Firefox 2.0がリリースされてからしばらく経ちますが、1.5のままで特に問題を感じていないのと、拡張機能を対応させるのにひと手間かかりそうなので、もう少し様子見を続ける予定です(逆に、Internet Explorer 7は「どうせ滅多に使わないから」という理由で日本語版が公開されたその日にインストールしました)。そうは言っても近いうちにアップグレードすることになりそうなので、ここで1.5について簡単にまとめておきます。

Firefox 1.5
Firefox 1.5の画面キャプチャ
コンセプトは「自分にとって使いやすいように、できるかぎりシンプルに。」以下にいくつかのポイントを挙げます。

1. テーマ、ホームについて
・テーマはデフォルト
・ホームはabout:blank(空白ページ)

2. ツールバーについて
・1行に収める!

3. ブックマークについて
・ローカルに保存するブックマークは全てツールバーに表示

4. タブについて
・横幅を80ピクセルに固定
・タブ上で右クリック→そのタブを閉じる
・タブバー上で右クリック→最後に閉じたタブを再表示

5. 拡張機能について
・毎日使うものに限ってインストール

Firefox 1.5 - Extentions
インストールしている拡張機能一覧

2006年10月24日火曜日

Truman Capote, Other Voices, Other Roomsのためのノート



OTher Voices, Other Rooms
Other Voices, Other RoomsはJoelという少年の成長を通して、I=eyeがothers、すなわちコミュニティの性質や状況に応じて形成される可能性を描いた作品である。
Truman Capote, Other Voices, Other Roomsの主人公Joel Harrison Knoxは両親の離婚後、母親に育てられた。その母親を病気で亡くしてからは叔母に預けられ、父親とは長らく音信が途絶えていた。ところが、13歳になったJoelのもとに突然父親からのものと思われる手紙が届く。物語は、彼が手紙を頼りに父親探しの旅に出るところから始まる。

Joelの外見的特徴はトラックの運転手Sam Radclifの目を通してはじめて語られる。Radclifは、自身の抱いている"what a "real" boy should look like (4)"というイメージとJoelの姿がかけ離れているとし、とりわけその目については"a girlish tenderness softened his eyes, which were brown and very large (4)"と感じている。ここで注目すべきは、観察の主体であるはずの主人公のeyeが観察の対象として描写されていることである。以降も目に関する言及が繰り返されていること、加えて緑の色眼鏡や鏡などの視覚を欺く小道具が作品中にたびたび登場することから、eyeがこの小説におけるひとつのキーワードとなっていると考えられる。

また、この作品のタイトルのなかでは”other”という言葉が反復されているが、othersという概念はなんらかの指示対象を前提とし、そこから排除されるものがあってはじめて成立するものである。逆に、「Iとは何か」を定義する際には、そこに含まれないものをあげてゆく消去法的操作が有効である。このようにIとothersの関係は、一方を仮定することによって他方が決定する、言うなれば相互依存的なものである。さらに、先に述べたeyeという器官の持つ、主体であると同時に対象ともなりうる二面性は一人称Iについても同様に認めることができる。

作品の末尾に"His mind was absolutely clear. He was like a camera waiting for its subject to enter focus. (231)"とあるように、JoelはSkully'sで通過儀礼を経たのち、なんらかのアイデンティティを確立したように書かれているが、それがどのようなものであるかについて具体的に語られることはない。本稿ではJoelのeye=Iがどのように形成されたかに焦点を当てることにより、その性質について考察したい。

作品のなかでJoelをはじめて観察したRadclifは父権社会における典型的な「男性的男性」である。ジョッキでビールをあおり、大きなげっぷをして、お代をカウンターに叩きつける。トラックを運転しながら煙草の煙を鼻から吐き出し、行く手をふさいでいるブタの群れにはクラクションと罵声を浴びせかける。また、mightyという副詞が口癖になっていて、彼にかかればJoelの名前は"mighty fancy name (5)"であり、Major Knoxは"mighty rich man (6)"となってしまう。さらに、母方の苗字を名乗るJoelに対して"you oughtn't to have let her done that! Remember, your Pa's your Pa no matter what. (8)"と憤る。このような態度からは、Joelの「女々しさ」は父権を離れて育ったことによるものであり、父のもとに帰れば「一人前の男」になるはずだという彼の思考を読み取ることができる。
しかし、幸か不幸か、Noon Cityを出発してからJoelの遭遇する男性は、実の父親を含め、ことごとくそのような「男性性」を欠いている。彼をSkully'sまで導いたのは老衰したJesus Feverであり、そこには病弱な同性愛者Sam Randolphと寝たきりになっているMr. Sansomがいた。また、森の中ではLittle Sunshineという世捨人に会うが、いずれにせよ、彼らは肉体的、あるいは精神的、社会的に「男性性」を欠いた人物として描かれている。なかでもJoelと親密に関わったRandolphは年鑑をもとに世界中の郵便局長気付、Pepe Alvarez宛に郵便を送ることを日課としているが、彼から返事が来ることにははなから絶望していて、むしろこの不毛な行為それ自体に意味を見出しているようである。また、彼は絵を描くことを趣味のひとつにしているが、模写のみを得意とし、創作の才能は自ら否定している。つまり、彼は行為の主体となって対象に働きかけることのできないキャラクターとして描かれているのである。

Joelが成長していく上でそのモデルとなりそうな男性はなかなか現れない。その一方で、Idabelという同年代の少女が"I never think I'm a girl; you've got to remember that, or we can't never be friends. (132)"と豪語する。また、"I've got two feet and I reckon I'm not such a flirt I can't find the willpower to put one in front of the other (32)"とJoelの馬車に同乗することも拒否し、半ズボンをたくしあげて二本の足をみせつける。さらに、屋敷のなかにいるJoelをたびたび外に連れ出し、橋の上で毒蛇と遭遇した際にはJoelから剣を奪ってこれを退ける。彼女のこうした活躍の数々は中世の騎士を髣髴とさせるものがある。

すでに成人しているキャラクターの性質がほとんど固定されているのに対して、IdabelはJoelとともに変化する。また、作品におけるIdabelというキャラクターの特異性は他にも指摘することができる。男勝りなIdabelにはFlorabelという美しく上品な性格の双子の姉妹がいるが、二人は常に仲たがいをしている。その原因は両者の本質的な(遺伝的な)違いよりも、むしろ似ている部分があまりに多いことにあると考えられる。一方が他方と同一視されることを避けるためには、極端に対照的な服装や振る舞いを行う必要があった。IdabelとFlorabelの関係はまさしくotherを排除することによってIを規定しようとするものである。
Idabelが少女でいる間は、このような二人の関係を続けていくことができるだろう。しかし、Idabelは森の中で黒人の男女が交わっているのを目撃することによって、生来的に決定している自らのセクシュアリティを自覚させられる。つまり、このまま双子が成人したならば、排除されるのはFlorabelではなく自らのほうであることに気づくのだ。そのため、サーカスでMiss Wisteriaといういつまでも成熟することのない女性に出会うやいなや、彼女に心酔して付き従うようになる。しかし、そうなってはIdabelが庇護していたJoelや犬のHenryの居場所は失われてしまう。

Idabelとの駆け落ちが失敗に終わったJoelはRandolphによって再びLandingに連れ戻されてしまう。このとき旅の発端となったEdw. R. Sansomの名前による手紙も実はRandolphによるものだったということが発覚するが、それでは彼が何のためにJoelを呼び寄せたのか、正確な理由は最後まで明らかにされない。Joelが叔母Ellenに宛てた手紙が暗黙のうちに捨てられ、外部との連絡が遮断されていることからも彼がLandingに幽閉されている可能性も否定できない。駆け落ちに失敗するまでのJoelはそのようなLandingという土地、そしてその中で生きる人々をothersととらえ、そこから心理的・物理的に逃避することによって自らの解放を目指した。ところが、一通りの失敗を経験し、頼りにしていたIdabelにも見放されると、ついに反抗することをやめる。 "Now in the process of, as it were, discovering someone, must people experience simultaneously an illusion they are discovering themselves: the other's eyes reflect their real and glorious life. (208)"とあるように、Landingという時間的・空間的に隔たったothersを自分の一部として受け入れる努力を始めるのである。

Joelのこのような成長はあの運転手Radclifの目には惨めなものに映るかもしれない。しかし、Radclifが「男らしい」と言えるのは、彼の属するコミュニティにおける「男らしさ」を獲得していたからであり、それがLandingでも同様に発揮されるとは考えにくい。また、Radclifの「男らしさ」はより上位にある権力に対してはもろい一面もある。例えば、Radclifは高度な教育を受けているJoelに対してきまりが悪そうにし、「会社の規則を無視することはできない」ともらす場面もあった。このように、Other Voices, Other RoomsはJoelという少年の成長を通して、I=eyeがothers、すなわちコミュニティの性質や状況に応じて形成される可能性を描いた作品である。

参考文献


Truman Capote, Other Voices, Other Rooms (New York: Vintage International) 1994.

Other Voices, Other Rooms (Vintage International)Other Voices, Other Rooms (Vintage International)
Truman Capote 
遠い声遠い部屋遠い声遠い部屋
カポーティ 

2006年9月19日火曜日

Windowsでカスタマイズすると便利な5つ目のキー



キー配置を変更する具体的な方法や、これまでのカスタマイズ例については「Windowsでカスタマイズすると便利な4つのキー」をご参照ください。

  1. [カタカナひらがな]→[F11][F11]は全画面表示の切り替えをおこなうキーです。Mozilla FirefoxAutohideという拡張機能をインストールしてから、以前よりも積極的に全画面表示を使うようになりました。キーボード・ショートカットやマウス・ジェスチャを組み合わせればツールバーなどが表示されていない状態でも効率よくブラウジングできます。
左隣の[変換]キーを「4.」で[F10]に置き換えていれば、[F10]と[F11]が並ぶので、直感的にも覚えやすいキー配置になると思います。

ChangeKey #2

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2006年9月12日火曜日

Windowsの視覚効果設定例



視覚効果の種類を減らすことによって、パソコンにかかる負荷を減らすことができます。そもそも視覚効果というものは、あればあるほどいいというものではありません。ある程度シンプルに設定したほうが人間にとってもわかりやすいと思います。

そこで、好みのわかれるところだとは思いますが、使いやすさを損なわない範囲でパフォーマンスを重視する設定を考えてみました。

視覚効果は[コントロールパネル]→[システム]→[詳細設定]タブ→「パフォーマンス」の[設定]ボタンをクリックして表示されるウィンドウより設定できます。

パフォーマンス オプション

チェックをつける項目は以下の通り。
  • ウィンドウとボタンに視覚スタイルを使用する
  • スクリーン フォントの縁を滑らかにする
  • ドラッグ中にウィンドウの内容を表示する

2006年9月11日月曜日

次回Windowsを入れなおすときにも迷わずインストールする7つのフリーウェア



最重要のFirefoxをストレスなく使うことができるように、それ以外のソフトは原則として動作の軽いものを選んで使っています。
  1. Mozilla Firefox
  2. カスタマイズ性に優れたブラウザ。RSSの購読やメールの送受信、スケジュール管理、ブログの更新もこのソフトを通じておこなっています。
  3. TeraPad
  4. 必要十分な機能を備えたテキストエディタ。軽いのでtxtファイルと関連付けてあります。
  5. avast! 4 Home Edition
  6. リアルタイム監視機能を持つウイルス対策ソフト。やはり軽快に動きます。
  7. BitDefender Antivirus v8
  8. 定義ファイルの更新頻度の高いウィルス対策ソフト。常駐監視はしませんが検出能力に秀でています。
  9. CCleaner
  10. HDD内の不要ファイルを削除し、レジストリを修正するソフトです。
  11. Skype
  12. 高音質で無料通話することができます。海外にいる友だちとも気軽に連絡がとれるので重宝しています。
  13. iTunes
  14. より多機能、拡張性の高いソフトもあれこれ試しましたが、結局面倒になりiTunesに移行しました。
PerfectDisk 7.0 2000/XP Pro版PerfectDisk 7.0 2000/XP Pro版

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2006年9月7日木曜日

Windowsでカスタマイズすると便利な4つのキー



キー配置を変更することによってミスタイプが減り、作業効率も上がります。Windowsではキーの配置を比較的容易かつ自由に変更することができます。

ただし、一度自分にとって快適な環境を構築してしまうと、その設定が特殊であれば特殊であるほど、また便利であれば便利であるほど、同じように設定されていないマシンを使わざるをえない状況では不便さを味わうことになります。変更は必要最低限にとどめましょう。
キー配置を変更するのに一番簡単な方法は「Change Key」というフリーソフトを以下からダウンロードして利用することです。非常駐型なので、メモリを圧迫しないのはもちろんのこと、アプリケーションをハードディスクから削除しても設定が残ります。レジストリの書き換えをおこないますので、念のためにレジストリをバックアップしておくことをおすすめします。

窓の杜 - Change Key
http://www.forest.impress.co.jp/lib/sys/hardcust/keyboard/changekey.html

それでは以下に4つのカスタマイズ例を挙げます。僕の場合IMEのオンオフ切り替えが非常に多く、それにあわせたカスタマイズをしているので、ご参考まで。
  1. [CapsLock]→[左Ctrl]
  2. 各種キーボード・ショートカットを覚えるようになると、それに比例して[Ctrl]キーの使用頻度も高まります。また、ひとつ上の[Tab]キーと組み合わせることが多いので(例えば、Firefoxのタブを切り替える場合)、[CapsLock]の位置にあると好都合かもしれません。
  3. [Insert]→[Delete]
  4. 上書きモードで入力することがないのにも関わらず、[Delete]キーと隣接しているために間違えて押してしまうことがたびたびあるようでしたら、いっそのこと[Delete]に置き換えてしまいましょう。
  5. [無変換]→[半角/全角]
  6. IMEがオンになっているとほとんどのキーボード・ショートカットが認識されないため、その切り替えでも活躍する[半角/全角]キー。[Spacebar]の左にあれば、ニュートラル・ポジションを崩すことなく打鍵できます。
  7. [変換]→[F10]
  8. 12個あるファンクションキーのうち、おそらく最も頻繁に使用するのは、入力した文字列を半角英数に変換する[F10]キーです(例えば、IMEがオンになっているのに気がつかずに入力してしまった「ごおgぇ」を「google」に変換するとき)。このキーが[Spacebar]のすぐ右にあれば、左手の親指をちょっとすべらせるだけで入力できます。
ChangeKey

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2006年9月2日土曜日

ノートパソコンを爆発炎上から確実に守る方法



普段からバッテリーを抜いた状態で使っていれば、バッテリーが原因でノートパソコンが爆発炎上するようなことは起きません。

バッテリーを抜いて使用することによってパソコン本体の温度上昇も抑えることができます。その甲斐あってか、4年ほど前に購入したVAIO(PCG-FR55/B)は数百時間にわたる過酷な動画編集作業に耐えています。

バッテリーの重さ分軽くなるので、文字通りラップトップで使う場合にも扱いやすくなります。先ほど挙げたサブマシンのバッテリーは量ってみると400g以上ありました。400gというとハードカバーの単行本1冊と同じくらいの重さです。

ただし、バッテリーのない状態で電源ケーブルが抜けると、OSを休止させることもケーブルを挿しなおすこともできないまま、本当にその場で終了してしまうのでその点については注意が必要です。

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2006年8月27日日曜日

Mark Twain, The Adventures of Huckleberry Finnのためのノート



The Adventures of Huckleberry Finn
Huckleberry Finnが優れた作品であるならば、それは「無垢で純真な少年Huck」が「南部の典型的な姿」を「独自の言葉」で語ったためではなく、むしろそのいずれについても不可能であることを背理法を用いて証明しているためである。

Mark TwainのThe Adventures of Huckleberry Finnについて議論するにあたり、まずはテクストがテクストそれ自体について述べている箇所を冒頭より引用したい。
You don't know about me, without you have read a book by the name of The Adventures of Tom Sawyer, but that ain't no matter. That book was made by Mr Mark Twain, and he told the truth, mainly. There was things which he stretched, but mainly he told the truth. That is nothing. (49)
この書き出しが注目に値するのは、ひとつには「語られていることが必ずしも実際に起きた出来事と一致するわけではない」と、テクストの虚構性がほのめかされているためであり、もうひとつにはあたかも自身が想像上のキャラクターに過ぎないことを認知しているように、語り手Huckが先行するテクストや作者Twainについて言及しているためである。これまでHuckleberry Finnは「見たままの情景を無教育な少年の借りものでない俗語・方言で直接、感覚的に描写しており、その結果Mississippi河の夜明けは彼以外の描写では表現できぬ具体性と特殊性を持って読者に迫ってくる(『総説アメリカ文学史』, 159)」と評され、リアリズムの側面が強調されて読まれてきたように思える。しかし、その一方で、一貫した真実性を持った語りを否定するのに十分な矛盾がテクストに盛り込まれていることもまた事実である。そのため、この作品における個々の情景描写が持ちうる意味を考える際にもテクスト全体のコンテクストと照らし合わせてみる必要があるはずだ。本稿では、Huckleberry Finnの形式と内容のそれぞれを作品の持つ虚構性に焦点を当てることによって再検討し、リアリティを自明視する限りにおいては十分に議論されえない問題点を明らかにしていきたい。

アメリカ文学に限らず、テクストが成立した過程をテクスト自体が説明することは多くの冒険譚に見られるパターンである。冒険譚が地理的ないし歴史的に隔たった経験を読者に報告する体裁をとる以上、信じられないような話に信憑性を持たせるための手続きが欠かせないことは納得のできることだ。ここで目を引くのは、マルコ・ポーロの『東方見聞録』1 をはじめ、ほとんどの冒険譚がその真実性を真っ向から主張している2 のに対して、Huckleberry Finnは真実と虚構が入り混じっていることをある程度認めることによって、逆に真実らしさを獲得しようとしていることである。歴史的事実を普遍的なものとして記述することが原理的に不可能であるという認識が前提となっている現代においては、むしろ後者のほうが信憑性の高いようにさえ思える。

ただし、Huckは具体的にどの部分が誇張であったかについては「どうでもいいことだ」とはぐらかしてしまう。彼が曖昧なままにしているもうひとつのことはHuckとTwainの関係である。作品の末尾からHuckがこの本を世に送り出すのに大変な苦労をしたらしいことはわかるが、それでは具体的にどのように貢献したのかということについてははっきりとしない。
[S]o there ain't nothing more to write about, and I am rotten glad of it, because if I'd a knowned that a trouble it was to make a book wouldn't a tackled it and ain't agoing to no more. (369)
ここでは"write"という言葉が用いられている。しかし、Huckがペンを取って何百枚もの原稿と向き合っている姿は想像しにくい。まずは、彼の語りがしばしば現在形で書かれていることが理由として挙げられる。確かに短い手紙やメモを書く場面はいくつか見られるが、そのおぼつかなさはむしろ日常的に記録を残している可能性を否定する根拠に数えられるものだ。また、11章でJudith Loftusとのやりとりに必死になるあまり、自分であらかじめ用意していた偽名を忘れてしまったことを思い起こすと、彼は自らの体験を正確に回想することには向かなさそうな語り手である。また、標準とされている英語に照らしたとき、Huckの言葉は文法や綴りの間違いにあふれている。例えば、"[Widow Douglas] would sivilize me (49)"という箇所では、civilizeとすべきところがsivilize と間違えられることによって、いかにHuckが文明化されていないかが露呈している。最後に、語り手のリアリティを決定的に否定するのは、Huckが語り手とされているのにもかかわらず、彼自身には出来上がったテクストを読み返すことが出来そうにないことである。別の言い方をするならば、この作品はHuckが読むために書かれたものではないのだ。このように考えるとHuckのHuckleberry Finnに対する貢献は、作者の想像力の中で動き回ったのみであるという、至極当たり前の結論に達せざるを得ない。しかし、当然のことのようではあるが、ひとたびこのことを認めてしまえば、Huckが「自然で無垢」どころか極めて人為的に創られたキャラクターであることも認めることになる。つまり、Huckleberry Finnのリアリティを保障しているものは、実は冒頭から末尾まで繰り返されている境界のはっきりとしない作者Twainと語り手Huckが同時に存在しているというメタフィクション的仕掛け、すなわちテクストの虚構性なのである。

通常ならば語るはずのない、また仮に語ったとしてもまともに聴きいれられることのない語り手が語るためには、作者が干渉し、語り手に代わって語りを捏造することが欠かせない。ことの善悪はさておき、ここからはこの捏造――作者の想像力の働きと言い換えることもできるだろう――が作品にもたらす意味を考察したい。まずは先ほど挙げたsivilizeという綴りの間違えを改めて見てみよう。ここで発音が同一であるcとsが混同されるためには、Huck自身がそれを頭のなかで思い描いたり口に出したりするのではなく、実際に書き間違えてみせなければならないはずだ。しかし、前述の通りそのようなことはありえないので、作者の捏造と言わざるをえない。同様のことは黒人奴隷のJimについても言える。そもそもアルファベットの読み書きができず、フランス人が自分たちと違う言葉を話しているということさえ理解するのに苦しんだJimには、Huckleberry Finnで用いられているような、標準とされる英語よりも音声に近づけた独特の表記法に基づく別の言語を話しているという自覚はないはずだ。ちょうど日本が「チパング島」として中世ヨーロッパに紹介されたように、HuckとJimは作者によって、標準とされているものとは異なる別の記号体系を無自覚のうちに押しつけられているのである。

HuckがHuckleberry Finnの読者として想定されていないことは先に述べた通りだが、逆に想定されている読者にとっては、"[C]ould say the multiplication table up to six times seven is thirty-five (65)"が明らかな間違いだということはすぐにわかるはずだ。また、Huckが"Polly-voo-franzy (135)"と言ったのが、本当は"Parlez-vous fran?ais?"のことを言いたかったのだということもわかる。さらに、22章でHuckはサーカスの団長が団員によって本当に騙されたのだと信じこみ、あらかじめ計画された演出であったことを疑おうともしないが、それが勘違いであることは想定された読者にとっては明白なはずである。そして、標準とされている英語やシェイクスピアの諸作品、そしていくつかの歴史的事件についての知識を持っていることも、想定されている読者たる条件であるらしい。こうして作品の随所に散りばめられた「ユーモア」の数々を振り返ると、その多くが作者の意識によって捏造されたHuckやJimの無意識が犯す過ちを、想定されている読者が「発見」することによって成立するものであることが明らかになる。そのため、想定されている読者はHuck本人よりもHuckをとりまく状況を把握しているような錯覚に囚われかねないが、それが錯覚であることは改めて強調しておかなければならない。『見聞録』では、「チパング島」における当時の仏教信仰について「実に悪魔的で、とても紹介することができない(『見聞録』, 208)」としている。自らの立ち位置から排除すべきイメージを他者に投影するライティング――Huckleberry FinnにおいてはHuckやJimの語りを一方的に文字化すること――は、彼らを想定されている読者とは異質の存在として区別するだけでなく、「未開」または「発展途上」というイメージを付加し、架空の上下関係を築くことを意味している。想定されている読者には全く理解することのできないテクストを作品の一部に挿入することや、活字による表記を離れることもできたかもしれないが、Huckleberry Finnにはそのような試みは見られない。

さて、作品がこのような階層構造を保持していることは事実であるが、それだけを根拠にTwainのライティングを差別的なものとして批判することはできない。また、Twainが人種問題についてどのような立場をとっていたかを詮索することもテクストを分析する鍵とはならない。ここで重要なことは、Huckleberry Finnが抑圧されている者の語りを代行することが原理的に不可能であり、それがあたかも可能なことであるかのように振舞うことがどれほど滑稽であるかを示すエピソードの集積によって成り立っているという内容的な特徴に目を向けることである。例えば、Huckは言い逃れをするために実にいきいきと架空の家族や架空の死者を捏造している。また、つい先ほど口にしたことについても、そのままでは辻褄があわず都合が悪いことに気がつけばすぐに新たな意味づけを行なっている。これらはまさしく、現在による過去の抑圧として説明することができる。他者の無意識を捏造しようとする行為のなかで特に過激なものは、実際にあったことを夢だと説き伏せ、言ったことを言わなかったと主張することである。15章で自分が騙されたときには怒りを露わにしたJimだったが、34章では何食わぬ顔でTomやHuckに話を合わせている。そして、語りの代行がどれほど不毛であるかを最も顕著に表しているのが、アルファベットを綴ることのできないJimに無理やり筆記具を持たせ、Tomの用意したお手本をもとに大きな砥石に文言を刻みつけさせることにより、語る内容だけでなく語り手をも捏造してしまった38章のエピソードである。このように、Huckは作者Twainによって抑圧されている一方で、語り手という特権的な立場にある以上、Jimをはじめとした他のキャラクターを抑圧する側でもあるのである。
38章ほど直接的ではないにせよ、やはり指摘しておかなければならないのが生前、死亡記事や怪我や病気で苦しんでいる者たちの記事を蒐集し、死者を哀悼する詩を詠んでいたとされるEmmeline Grangerfordという少女である(17章)。Emmelineはその善行のために人々から大いに感謝されていたようだが、彼女の想像力の源泉は在りし日の故人との思い出よりも、死という現象そのものだったと考えられる。つまり、彼女が詩を通して語ったことは、不幸に遭った者たちの実態とは乖離したものである可能性が高いが、殊に故人ともなれば、例え見当違いなことが詠まれたとしても本人が異論を唱えるようなことはありえない。死者についてばかり語った少女の不気味さをつきつめていくと、このように一方的な意味づけを繰り返していたことに集約するのではないだろうか。皮肉にもそのEmmelineはHuckがGrangerford家に迎えられたときにはすでに帰らぬ人となっており、神聖化され、家族から無条件の愛情を注がれる対象となっている。

Emmeline以外にもHuckの父親、Grangerford家の男性たち、Boggs、そして遺言によってJimを解放したOld Miss Watsonなど、登場人物がつぎつぎに他界してゆく。そればかりか、死は慣用表現としても作品中に頻出する。最も多いのが"I most wished I was dead (51)"や"I would die first (254)"など、「死んだほうがましだ」という用法である。次に、 "perfectly dead and still (191)"や"like everybody's dead and gone (288)"という形で静寂を表す箇所も少なくない。また、頻度は下がるが、"The people most killed themselves laughing (214)"と"Jim was pleased most to death (368)"では、死という意味を離れた強調表現として使われている。Huckはなぜ死について執拗に語るのだろうか。また、語り手本人の台詞はなぜこれほど限られているのだろうか。思えばThe Adventures of Huckleberry Finnと銘打たれていながら、作品中でHuckのとる行動は原則的に逃亡であり、事件が起きたときにも積極的に危険を冒すよりは傍観者であり続けることが多い。いつでも逃げられるようにいかだを隠していたのと同じように、Huckはどのようにでも語ることのできる死者をはじめとした被抑圧者については雄弁に、逆に自らについては曖昧に語ったと考えることもできる。

このように、Huckleberry Finnは従来言われてきたように文体や方言の表記法に関する実験的な試みであると同時に、それが生み出すとされるリアリティが本質的には虚構に過ぎないことを絶えず確認するように書かれている。そして、ひとたびこの虚構性を認めれば、「牧歌的なユーモア」とされてきたものは「無知を装ったアイロニー」となり、作品のタイトルと内容の不一致も浮き彫りになる。ついには作品を「Huckの冒険」として読むことができなくなる。Huckleberry Finnが優れた作品であるならば、それは「無垢で純真な少年Huck」が「南部の典型的な姿」を「独自の言葉」で語ったためではなく、むしろそのいずれについても不可能であることを背理法的な手続きによって証明しているためである。



1 『東方見聞録』の著者はマルコ・ポーロとされることが多いが、厳密には1298年にマルコがジェノアで投獄されたときに同じ獄舎にいたピサの出身者、ルスティケロが書き上げたものだ。捕らえられたマルコはヴェニスの父のもとに手紙を出し、26年に及んだ冒険のあいだに書きためたノートを送らせた。ルスティケロはマルコの口述よりもこのノートを基礎に自らの文体に則して旅行記をまとめたので、最初の原本はイタリア語がかった中期フランス語で書かれたとされている。マルコとルスティケロという2人の媒介者がテクストに関わっているという点で、『見聞録』とHuckleberry Finnはよく似ている。また、当時はまだ印刷技術が発明されていなかったため、ルスティケロの原書を書き写すときにマルコ本人から直接聞いたことなどを付け加えた人もあったと考えられ、古写本、古版本は合わせて140種類以上あると言われている。(『見聞録』, 解説)

2 「これはヴェニスの賢明で気高い市民マルコ・ポーロ氏によってのべられたもので、彼はその眼でこれらを見たのである。中には彼の親しく接しなかったものもあるにはあるが、それも信用ある人から聞いたものである。しかし見たことと聞いたことははっきりと区別してある。本書を、真実をかたる信頼すべき書とするためである。(『見聞録』序文, 10)」序文にはこのようにあるが、本文における経験と伝聞の区別は曖昧であり、そのため『見聞録』には神話に基づく荒唐無稽なエピソードが多い(もっとも、13世紀の史料としては驚異的に正確であるという見方が歴史家の間では支配的なようだ)。

参考文献

Mark Twain, The Adventures of Huckleberry Finn (London: Penguin Books Ltd.) 1985.
マルコ・ポーロ 著, 青木富太郎 訳『世界探検全集1東方見聞録』(東京: 河出書房新社) 1998.
大橋健三郎, 斎藤光, 大橋吉之輔 編『総説アメリカ文学史』(東京: 研究社) 1975.

The Adventures of Huckleberry Finn (Penguin Classics S.)The Adventures of Huckleberry Finn (Penguin Classics S.)
Mark Twain Peter Coveney


総説アメリカ文学史総説アメリカ文学史
大橋 健三郎


2006年8月21日月曜日

2006年度センター試験ネコ学1B速報



イラストでみる猫学
例年通り、大問1は実技、大問2は文系分野、大問3は理系分野からの出題であった。
大問1

(1)は「50㎝の距離から生後1ヶ月のアメリカンショートヘアを3分間見つつ、心拍数の上昇を5%以内に抑えよ」という課題であった。受験生が最初に挑む問題としてはハード過ぎたのではないか。
(3)は2年連続で雌ネコの鳴きまね法からの出題であった。
(5)の「15分以内に指定の公園から黒ネコを2匹捕獲せよ」という課題は易問であるが、(4)までに集中力を使い切った受験生にとっては辛かったかもしれない。

大問2

(1)は世界史からの出題。古代エジプトでのスフィンクス信仰を理解していれば容易に解答できたはずだ。
(2)は英語の空欄補充であるが、"Kitty"と"Kitten"の区別が付きにくく、難問であった。
(3)は現代文の正誤問題。選択肢④の「マタタビの名前の由来は、疲れた時にマタタビの実を食すると再び旅ができることから」が正解である。

大問3

(2)は4年連続で運動力学からの出題であった。机上の跳躍点Aからの放射角θ=45°が解ければ易しい。
(4)では「三毛ネコの色斑遺伝」が出題されたが、明らかにネコ学1Bの範囲外であり、不適当な設問である。
(5)は閉鎖系におけるネコの実験考察問題であるが、タンパク質が主たる構成成分がであることを知っていれば、食されたネズミがペプシンにより分解されたことは容易に推論できただろう。

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猫語の教科書

2006年8月20日日曜日

おぱる



おぱ・る

〔自五〕「おぱぱる」の転。
①神がかりになる。古事記(上)「巫女―・りて胸乳をかき出で」
②うかれて遊び騒ぐ。伎五大力恋緘「おつと今宵は身共が立てぢや、松坂屋で―・れめされ」
③ばかなまねをする。人をばかにする。「―・ったことを言うな」
④性能や働きが駄目になる。「エンジンが―・った」
⑤物事が入り乱れて解決しにくくなる。「話が―・る」

広辞苑広辞苑
新村 出

2006年7月13日木曜日

春猫秋冬



僕は卓子(テーブル)の上に、
黒猫のほかにはなんにも載せないで、
毎日々々、ジッとそいつを見詰めてゐた。
いや、そのほかに三毛と斑と、
鯖虎くらゐは載つかつてゐた。
いや、時とするとまた別の黒猫を持つて来て、
顔を埋めて(うづめて)まどろむこともあつた。
戸外(そと)では仔猫がにゃあにゃあ鳴いてゐた。
野良は垣根をくぐつて、腹を空かせたのがよく迷い込んだ。
思ひなく、日なく月なく時は過ぎ、
とある朝、僕は死んでゐた。
卓子に伏した僕の身体(からだ)は、
やがて猫たちによつて瞬く間に平らげられた。
――さつぱりとした。さつぱりとした。

(原文:中原中也『夏』
中原中也詩集中原中也詩集
中原 中也 吉田 ヒロオ


2006年7月7日金曜日

“Just like my Dad”: Notes of East is East



George Khan first came to the United Kingdom in 1937. Although he had a former wife left in Pakistan, he got married to a British woman, Ella, as his second wife. 25 years later, their seven children are marching cheerfully with their neighbors for a Christian celebration. Their only daughter Meenah is carrying the Christ on the cross, and the youngest boy Sajid is strewing flowers on the road. They are totally accepted by the community; however, the children had to deceive their father’s eyes, when Ella informed that he came back home earlier than they had expected. Since George would not be happy seeing his children joining in a Christian parade, they ran the backstreets while the band marched in front of the Khan’s house.
The next scene started with a close-up shot toward the pictures of nine members hanging on the wall. Though their apartment was too small to hold a large family, and their incomes were limited, the Khans seemed satisfied with their life. Furthermore, it was a special day for the family; the eldest son Nazir was going to get married to a Pakistan wife. Even the non-Muslim neighbors gathered around the decorated van, giving them their blessings. Everyone except for Mr. Moorhouse, an enthusiastic adherent of Enoch Powell and yet unaware of his daughter and son hanging around with the Khans, seemed delighted, until the bridegroom ran out of the mosque in the middle of the marriage, and that was when the problem which the family was involved became obvious. The picture of Nazir was taken off from the wall, and George regarded him as a dead child.

What differentiates East is East from other stories having the similar structural outline of adolescent rebellion against parental authority is the distinguishing construction of the family. As mentioned above, George is an immigrant who married a British woman. Therefore, the family is half Pakistan, half Britain, which made the problem more complex than other immigrant families. The second generations of immigrants are likely to have conflicts between the different standards at home and the outward society. However, the seven children are forced to behave differently depending on the father’s presence, not by the location of themselves. For example, the children attempted to run away in sight of a van coming from the mosque to their house; however, once they were caught by George, who was actually watching them from the beginning, they obeyed him without making resistance. Moreover, Tariq, Saleem, and Meenah served themselves pork sausages and bacon while their father was leaving the house. It was not the first time, and perhaps they were getting used to it, though they had to destroy the evidence in great haste on the sudden return of the patriarch.
Among the children, Tariq is the character who seems to be most frustrated by the religious restriction. This good looking young man is a rock music fan, a secret boyfriend of Stella Moorhouse, and a regular visitor of a night-club. Therefore, it is needless to say that he was infuriated at George when he heard about his secret engagement with a Pakistani whom he had never seen. After coming back from a temporary run away from home, he gathered his nerve and asked his father, “Then, why did you marry Mom?”

Since it was a crucial question, it got George into rage, and made the food chopper shudder in his hand. One of the essential problems with George is his inferiority, complex toward the Muslim community. He persists in his home country and Islamic religion, but since he became an emigrant and married with a Christian, he could no longer be a representative of either his country or religion. There was a scene of George getting excited while he was listening to a radio news program reporting the Indo-Pakistan War of 1971, which led to the liberation of Bangladesh. He seemed to be worrying not only about his first wife, but also about Pakistan as his home country. As a historical fact, however, Pakistan was formed as a modern state in 1947, thus it should be ten years since George had left his home country. His poor relation with Pakistan was exposed by Mrs. Shah who crossed sword with George about the clothing of Meenah. George insisted that she should wear a traditional sari, and Mrs. Shah denied it by telling that sari is not a traditional costume of Pakistan. Therefore, George became a father of seven children in Britain, and yet he can be regarded as an “orphan” without a home country from this point of view. His inferior complex is also evident by observing the names of his children. Although his own name is a typical English name, all of his children’s name—Nazir, Tariq, Abdul, Maneer, Saleem, Meenah, and Sajid—are chosen from the names of the Islamic world.

Another problem, which is deeply related with the former, is his simplistic dichotomy between the two values; i.e. Pakistan and Britain, Islam and Christianity, parent and child, etc. As long as George persists in Pakistan and the Islamic world, he and his family living in Britain are doomed to be the outsiders. On the contrary, their interracial marriage can be regarded as irresistible evidence showing the mobility of the ideas and concepts of tradition or nationality. Those ideas have influence upon people for they are beyond the comprehension of individuals, in the meanwhile unjust for the same reason. In addition, the position of parent and child is the most shifting among the examples. Marriage is the diverging point of a son being a husband, climbing the first step of becoming a parent, a reproduction of his father.

To sum up, George had two problems. First, he had an excess inferior complex toward the Islamic community, and second, his dichotomy between the two values lacked flexibility. In the meantime, it is noticeable that he repetitively claimed that what he was doing was intended for the family benefit. Therefore, George is not the only person to be responsible for the crisis which the Khans experienced, neither is this merely a problem of a certain individual being mentally unbalanced. As George had done, it is not unusual for migrant workers, emigrating from colonial regions to suzerain states, to leave their family in the home country, since they could not afford it for financial reasons. This tendency leads to an unbalanced population of immigrants, and once the men leave their home country, finding a partner from the same nationality become exceedingly difficult for them. Thus many migrant workers will rather attempt to find a partner from a different nationality, which will give rise to many interracial marriages and children of mixed parentage. Consequently, East is East is a film filled with exotic music and images, and yet it did not end with only introducing the life of British Muslims, but it is highly suggestive about the intricate conflict, which includes the search for their identity, between the interracially married couples and the second generations.

ぼくの国、パパの国ぼくの国、パパの国
アユーブ・カーン=ディン ダニアン・オドネル オーム・プリー

2006年6月22日木曜日

"Could be Sisters": Notes of Bridget Jones’s Diary



Bridget Jones's Diary

The story begins with Bridget Jones, a 32 year old unmarried woman who works for a publishing company, starting to keep a diary. It is an attempt of self-organizing, thus she sets out a list of New Year resolutions on the first day; reduce in weight, quit smoking, restrain in alcohol, etc. Saving money may be commonly added to these lists, though financial problem has never been mentioned in the whole film. Both of the Bridget's boyfriends, Daniel Cleaver and Mark Darcy are people of fortunes, and yet she does not seem to be fascinated by their wealth. Each of her urban friends, Jude, Sheila, and Tom, who are all remaining single, is also making their own living in one way or another. These middle class "singletons" in Britain are self-reliant, and old enough not to choose a partner only by his earnings, which append a tone of purity to this comedy. It does not mean that any men could be the one; they have strict criteria, while they are anxious in some measure. Bridget is the first one to be conscious of marriage among the friends, thus they give several advices in frequent meetings, as a successful career woman, a stubborn feminist, or a sympathetic gay.

Motivations of Bridget for getting married can be roughly divided into three groups. The first one owes it to her family and relatives who asks her about the present love life every time they meet up. In particular, her mother has been introducing Bridget a new prospect for years, but for the person in question, it has been nothing but a burden, and has even been embarrassed by it. The second reason is the physiologic anxiety, which occasionally appears as an image of her dead body lying on the floor of her apartment without being noticed by anyone but hungry dogs. She simply feels lonely, and wants someone to share her life with. The last but not least is the desire for obtaining the social status by being a wife and mother, since the idea of Victorian virtue that women should be responsible for the children is still remaining among the British people from the middle class. Bridget is especially conscious of the latter, since child-bearing period is more limited than the marriageable ages. From these reasons, the desire for getting married precedes the idea of any definite person.

Now, it is comprehensive that her mother, Pamela Jones, takes an important role in the film. She has been an ideal housewife, but after bringing up her only daughter and going through her husband's retirement, she feels of herself needless. Her appearance is fine for her age, which widened the discrepancy between her ideal self-image and actual life. At length, she decides to start her career as an assistant in a television program. Her work fellow, Julian, becomes her new partner, and then she suddenly moves out from the Jones's house, leaving her husband alone. However, Pamela's struggle in television business ends in failure, when she finds out that the relation with her new partner came to an end. Bridget accepts her mother coming back home, with a complex emotion consisting of different standpoints. As her daughter, she must be happy to see Pamela back in the Jones' family home. Moreover, she may have felt sympathetic for her failing in her career as one of the working women. What makes her feelings complicated are a sense of envy that occurs when she watches her parents downstairs, sitting side by side, confirming each other that they would live together for the rest of their lives; at this point, Bridget is disappointed in her hopes. Indeed, the mother is described in marked contrast to her daughter, nevertheless shows the common difficulty to realize the ideal for the working women from the middle class.

Keeping a diary is the first substantial effort to the attainment of her ideal for Bridget. She narrates the occurrences toward the diary, as many diaries are written in a similar way. When the fact that her job takes place in a publish company is put into concern, it is symbolic that she starts to use her words to express herself, instead of merely giving publicity to novels written by others. In the latter part of the film, Bridget switches her career in television in a dramatic way, just as her mother has done. Women working in television are highly estimated by general people, especially if they are announcers and reporters, who are directly exposed to the audience. Women going into this field are demanded to be both high talented and good-looking. Bridget is again sexually harassed by her new boss, as she had been by Daniel before. However, being an attractive woman is sometimes helpful, too. For instance, Mark, who is certainly fond of her at this time, helps Bridget with arranging an exclusive interview for her, which turns out to be a quantum leap in her course as a news reporter.

The heroine of the film has enough luck to meet a person who likes her "just as she is." Her friends are also moved by the phrase, which is namely unusual for others. Today, the definition of middle class includes most of the population in the United Kingdom, thus conflicts between the classes are not serious anymore. On behalf of being labeled by the class they have been brought up, the social status of contemporary Britain middle class women are determined by dual standards. Being a fine worker for one thing, and being a good wife or mother for another. Evaluation as a working woman changes quickly, and even being a good wife becomes a life-long struggle regarding the case of Pamela. It is also notable that the relationship between men is highly influential with both of the standards mentioned above. In most of the developed countries, the career mobility has increased, institutional gender discrimination has been rectified, and still gender prejudice and other obstacles remain in workplaces. For example, maternity leave is approved by the labor contract; however, a temporary departure from the forefront may virtually take a woman away from the high road to success.

It would be too much to say that Bridget Jones's Diary represents with precision the actual lives of unmarried working women in Britain, though it is highly suggestive about the nature of agony which is shared by the group at large. Indeed, although it is a comedy in the first place, nevertheless the film showed two generations, a mother and her daughter, who made strenuous efforts to attain dual social statuses at once, but from different sides, in a community that men still have great influence on women going through the process.

2006年2月24日金曜日

猫の定理



【問題】

直線y=kx、曲線y=x³-6x²+9xがある。0< k <9の時、直線と曲線の交点のxの座標を(0,α,β)として、(0,α)の間で直線と曲線に囲まれた面積と(α,β)の間で直線と曲線に囲まれた面積が等しいときのkの条件を求めよ。

【解答】

定数kは、0toβの∫(x³-6x²+9x-kx)dx=0
上式を積分し、1/4β²-2β+9/2-k/2=0
直線と曲線の関係式よりβ³-6β²+9β-kβ=0
両者を連立させると、β=0,4
β=0のとき解なし、β=4のときk=1
以上よりk=1

【猫の定理を用いた別解】

「にゃあ」
「にゃー」
よって猫=飼えば良いのです。

2006年2月5日日曜日

日曜日に受信箱へ届けられたもの、そして土曜日にどこかへ消えてしまったもの



今日、データが消えた。あるいは昨日だったかもしれない。わからない。サーバを借りている会社よりメールを受け取った。
この度は大変ご迷惑をおかけ致し、誠に申し訳ございません。弊社では、利用規約に基づきデータのバックアップは行っておりませんが、今後も障害に対し、出来る限りの対処を行って参ります。 
それは何の意味も持たなかった。おそらく昨日のことだった。

異邦人異邦人
カミュ

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